人前に出る前から体に力が入る。考え事が続いて、なかなか気持ちを切り替えられない。仕事や人間関係のあとも緊張が残っている。
そのようなとき、札幌心の相談センターでは、カウンセリングでお話をうかがうこととあわせて、心身安定健康法を取り入れることがあります。
心身安定健康法は、呼吸や体の感覚に注意を向けたり、筋肉の力を緩めたりしながら、自分の緊張の状態に気づき、落ち着くための方法を学ぶセルフ・コントロール法です。
実際には、次のようなことを行います。
- 呼吸の仕方を確かめる
- 筋肉にいったん力を入れてから緩める
- 言葉による暗示を使う
- 音やリズムを使う
- 機器の画面に表示される体の変化を確かめる
- これから経験する場面などをイメージする
札幌心の相談センターでは、自律訓練法、呼吸法、筋弛緩法、催眠法、音楽療法、バイオフィードバック法、イメージトレーニング法の7つの方法を取り入れています。
7つの方法をすべて行うわけではありません。
それぞれの内容をご説明したうえで、ご本人の希望やそのときの状態に応じて、取り入れる方法を考えていきます。
実践する7つの方法
1.自律訓練法
自律訓練法は、1932年にドイツの精神科医J・H・シュルツによって体系化された、よく知られているリラクセーション法です。自分で行うことができ、決められた言葉を使いながら、体の感覚に注意を向けていきます。
練習には「6つの公式」がありますが、最初からすべてを行うわけではありません。初めの段階では、姿勢を整え、基本となる公式から練習していきます。
実際にやってみると、「これでよいのだろうか」「何も感じない」と思うこともあります。決められた感覚を無理に作ろうとせず、そのとき自分がどのように感じているかを確認しながら進めます。
練習の最後には「消去動作」と呼ばれる動作を行って終了します。
慣れてくると、落ち着いた場所だけでなく、仕事の合間など日常生活の中で短い時間に取り組むこともできます。
札幌心の相談センターでは、自律訓練法を単独で行うこともありますが、呼吸法や催眠法などと組み合わせて行うこともあります。
2.呼吸法
札幌心の相談センターでは、呼吸法を行うとき、息を吸うことよりも、ゆっくり吐くことを意識してもらいます。
ひとつの目安として、吸う時間に対して、吐く時間をおよそ2倍にします。たとえば、3秒くらいかけて吸ったら、6秒くらいかけて吐く、といった具合です。
ただし、秒数を正確に合わせることが目的ではありません。苦しくならない範囲で、自分が続けやすい速さで行います。
特別な道具を使わずに行える方法で、慣れてくると仕事の合間や緊張する場面の前などにも自分で行えるようになります。
3.筋弛緩法
筋弛緩法は、体の一部分に意識して力を入れ、そのあとゆっくり力を抜くことを繰り返す方法です。
たとえば、手を握る、肩を上げる、腕に力を入れるなどして数秒間その状態を保ち、そのあと力を抜きます。
一度力を入れてから緩めることで、力が入っているときと抜けたときの感覚の違いを確かめやすくなります。
手や腕、肩などから始め、必要に応じて体のほかの部分についても同じように行います。力を入れるときは、痛みが出るほど強く行わないようにします。
4.催眠法
札幌心の相談センターでは、希望する方に催眠法を行うことがあります。
催眠状態は、意識がなくなる状態ではありません。
何かに注意が集中しているときのように、周囲への注意が少なくなり、言葉による働きかけを受け取りやすくなっている状態です。
実際には、言葉による暗示誘導を用いて催眠状態へ入っていきます。自律訓練法と組み合わせて行うこともあります。
「催眠」という言葉から、テレビなどで見る催眠術を思い浮かべ、「自分の意思とは関係なく何かをさせられるのではないか」と心配される方もいます。
札幌心の相談センターで行う催眠法は、ご本人の希望と同意を確認したうえで行います。
どのようなことをするのかは事前に説明します。希望しない方に勧めることはなく、途中で不安や違和感を感じた場合には中止することができます。
5.音楽療法
札幌心の相談センターでは、言葉だけではないコミュニケーション体験の方法の一つとして、音やリズムを使うことがあります。
相談室には、アフリカのジャンベをはじめ、ボンゴ、タンバリンなどの打楽器があります。
ここで行うのは、楽器を上手に演奏する練習ではありません。
自分で音を出してみる。相手が出した音を聴く。交互に音を鳴らしてみる。
こうした音のやり取りを通して、自分から働きかける、相手の働きかけを受け取る、交代するといった、コミュニケーションの基本を体験しながら練習します。
言葉だけでは表しにくいときだけでなく、人とのやり取りの基礎を練習する方法として取り入れることがあります。
6.バイオフィードバック法
緊張や不安、焦りなどがあると、指先の血流や発汗に変化が現れることがあります。
札幌心の相談センターでは、こうした体の変化を目で確かめるために、パソコンと連動するバイオフィードバックの機器を使用しています。
指先の皮膚温や、発汗に伴う皮膚の電気的な変化を測定し、その変化をパソコンの画面に表示します。
たとえば、呼吸法を行っているときに画面の表示がどのように変わるかを、本人と一緒に見ながら確かめます。
自分では気づきにくい体の反応を、目で見て確認できるところがこの方法の特徴です。
表示される数値の良し悪しを競うものではありません。
この機器を病気の診断や健康状態の判定に使うものではありません。
7.イメージトレーニング法
イメージトレーニング法は、これから経験する場面などを頭の中で具体的に思い浮かべ、その場でどのように行動するかを頭の中で予行する方法です。
たとえば、人前で話す、相手に自分の考えを伝えるなど、緊張しやすい場面を思い浮かべながら、どのように話すか、どのように行動するかを頭の中で予行します。
札幌心の相談センターでは、イメージトレーニングを行う前に、呼吸法と自律訓練法を行います。
心身の緊張をゆるめてから取り組む方が、場面を思い浮かべやすくなるためです。
ただし、イメージの浮かびやすさや感じ方には個人差があります。はっきりした映像のように思い浮かばない場合でも、その人なりのイメージを使いながら進めます。
方法を行う前に大切にしていること
ここで紹介した方法は、全員に同じように行うものではありません。
どのような方法なのかをご説明し、ご本人の希望を確認してから行います。
希望しない方法を無理に勧めることはありません。
また、実際に始めてから不安や違和感を感じた場合には、途中で休んだり、中止したりすることができます。
一つの方法が合わないと感じた場合には、その方法にこだわらず、別の方法を検討することもあります。
医療機関で行う診断・治療とは異なります
このページで紹介している方法は、札幌心の相談センターのカウンセリングの中で、ご本人の希望や状況に応じて取り入れているものです。
医療上の診断や治療を行うものではありません。
痛み、睡眠、体調などについて心配な状態が続いている場合には、医療機関へご相談ください。
現在、医療機関へ通院している方は、取り組む内容によっては、必要に応じて主治医へ相談してください。
