人間関係の孤立感
例「ほうれんそう」ができず、叱られる悪循環
「報告・連絡・相談をしなくては」—— 頭では分かっているのに、どうしてもできない。
重要な報告をタイミングを逃してしまい、上司から叱責される。そして「また叱られるのが怖い」という気持ちが強くなり、ますます報告できなくなってしまう。この悪循環に、出口が見えなくなってしまう。
30年のカウンセリング経験の中で、20代・30代の方を中心に、このような職場での孤立に苦しむ方が数多くいらっしゃいました。真面目で責任感が強いからこそ、「できない自分」を責め続けてしまうのです。
「できない」のではなく、「何か引っかかっている」のかもしれません。
「自分が悪い」と責める前に知ってほしいこと
孤立してしまう人に共通する「本当の理由」
職場や家庭、友人関係の中で孤立してしまう方の多くは、「自分に原因がある」「自分の性格が悪いからだ」と考えがちです。
しかし、30年間で数百人の方々とお話をしてきた経験から言えることがあります。それは、孤立してしまう方の多くは決して「悪い人」ではないということです。
実際にお話を伺うと、次のような特徴が見えてきます:
- 人一倍、傷つきやすい繊細さを持っている
相手の言葉や表情に敏感で、些細なことでも深く受け止めてしまう - どう表現して伝えればよいか分からない
自分の気持ちを言葉にする方法が分からず、黙ってしまう - 自信がなく、話しかけづらさを感じている
「こんなこと聞いたら迷惑かも」「嫌われるかも」という不安が先に立つ
これらは、「悪い」のではなく「困っている」状態です。そして、その「困り感」に自分自身も気づいていないことが多いのです。
「叱られるのが怖い」の裏側にあるもの
「また叱られるのが怖くて報告できない」という方に、「なぜ怖いのか」を丁寧に伺っていくと、過去の経験や、幼い頃からの人との関わり方のパターンが見えてくることがあります。
それは決して「弱さ」ではなく、あなたが真剣に人と向き合ってきた証でもあるのです。
札幌ならではの孤立感
新しい環境で感じる「居場所のなさ」
札幌は、単身赴任・転勤・移住・UターンやIターンで来られる方が多い街です。慣れない土地で新しい人間関係を一から築くことは、想像以上にエネルギーを使います。
家族と一緒に移住した場合でも、新しい環境での家庭内コミュニケーション不足に悩む方も少なくありません。パートナーは仕事で忙しく、自分は知り合いもいない。子どもは学校で友達ができているのに、自分だけ取り残されたような気持ちになる——そんなお声もよく聞きます。
冬の閉塞感が孤立感を加速させる
また、札幌の冬は雪が多く、住み慣れない方にとっては外出すること自体がハードルになります。閉じこもりがちになり、人との接点が減っていくことで、閉塞感や孤立感を強く感じる傾向があります。
特に11月から3月にかけて、「なんとなく気持ちが沈む」「人と会いたくない」というご相談が増えるのも、札幌ならではの特徴かもしれません。
カウンセリングで起きる小さな、けれど確かな変化
「心の奥」に触れるのは、ゆっくりと
カウンセリングでは、初回から無理に「心の奥」に触れることはしません。心の奥深くにある気持ちは、触れると傷つくこともあるからです。
まずは「今、困っていること」「最近感じていること」から、ゆっくりとお話を伺います。焦らず、あなたのペースで大丈夫です。
「後悔した」と言えた瞬間に、変化は始まっている
ある方は、カウンセリングの帰り道に「こんな事言わなきゃよかった」と後悔したそうです。
そして次回のカウンセリングで、その気持ちを正直に話してくださいました。
私はその瞬間、「この方は変わり始めている」と感じました。
なぜなら、「言わなきゃよかった」と思ったことすら、安心して話せる関係がすでに築かれていたからです。これは、カウンセリングの中で起きる小さな、けれど確かな変化です。
「何を話しても壊れない関係」を体験する場所
受容される体験が、心の安全基地を作る
カウンセリングでは、何を話しても関係は壊れません。どんな気持ちも、どんな考えも、否定されることはありません。
受容される体験を重ねることで、心は安心感と心理的安全性を学んでいきます。「ここでは自分を出しても大丈夫なんだ」という感覚が、少しずつ育っていくのです。
人との繋がりを、もう一度実感できるように
その積み重ねが、人との繋がりや絆を実感するきっかけとなります。
「人と話すのが怖い」から「この人になら話せる」へ。
「自分は孤立している」から「ここには自分の居場所がある」へ。
そうした変化を経て、少しずつ職場や家庭での人間関係にも変化が現れ、孤立感から抜け出すことができるようになっていきます。
まずは一度、お話をお聞かせください。
「何を話せばいいか分からない」
「相談したいことが明確じゃない」
それでも大丈夫です。あなたのペースで、あなたの言葉で話してみてください。
札幌心の相談センターは、あなたが安心して話せる場所です。
