対人緊張は、変えていけるんです

対人緊張について落ち着いて考えるためのノートと万年筆、若葉が置かれた相談室の水彩風イラスト

この記事について:
このページは、札幌心の相談センターが作成しています。札幌で1995年から心理カウンセリングを行ってきた経験をもとに、初めての方にも分かりやすいようにまとめています。
代表カウンセラーは、精神保健福祉士・産業カウンセラーです。
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対人緊張のカウンセリング

30年以上、ずっと見てきたこと

カウンセラーとして独立して30年以上。正直に言うと、開業当初は自分にできるのか不安でした。でも今、長年のカウンセリングを通して、人が少しずつ変わっていく姿を何度も見てきました。

ここでご紹介する事例は、プライバシー保護のため複数の相談者の体験をもとに構成しています。特定の個人のお話ではありませんので、ご了承ください。

以下では、28歳の女性Aさんという一つの事例にまとめてご紹介します。Aさんは、友達からランチに誘われても、怖くて怖くて、心臓がバクバクして、結局「予定があって…」と断ってしまいます。そしてそのあと、自分を責めてしまいます。

こうした苦しみは、これまでにも何度もお聴きしてきました。予期不安っていうんですけど、まだ起きてもいないことを心配しすぎてしまう。それで最悪のシナリオばかり想像してしまう。日本の調査では、社交不安症の過去1年間の有病率について、約0.8%という報告があります(『社交不安症の診療ガイドライン』)。ただ、これは「対人緊張を感じる人」すべての割合を示したものではありません。

人前で緊張したり、人との場面を避けたくなったりしても、「性格だから仕方ない」「これくらいで相談していいのかな」と、一人で抱えている方もいます。

アメリカでは、社交不安症の過去1年間の有病率について、成人の約7.1%、およそ14人に1人という報告があります(米国国立精神衛生研究所:NIMH)。日本とアメリカでは、それぞれの調査で報告されている数字に差がありますが、その理由を単純に一つの要因だけで説明することはできません。

対人場面での緊張は、「恥ずかしがり屋」「内気な性格」と受け止められることもあります。ただ、緊張や不安が強く、日常生活に支障が出るほど苦しくなることもあります。

対人場面での緊張や不安に悩んでいるのは、あなただけではありません。

カウンセリングで取り組んでいること

まずは考え方のクセに気づくところから

まず、友達から誘われたときに頭の中に浮かぶことをホワイトボードに書き出してみます。「絶対に会話が続かない」「沈黙になったら最悪」といった考えが浮かんでいることに気づきます。

では、本当にいつもそうなのでしょうか。これまで普通に話せた場面はなかったかを振り返ってみます。すると、「職場では普通に話せた」「美容院では楽しく話せた」といった別の経験にも目が向くことがあります。

不安が強いときには、うまくいかなかった経験や心配なことに目が向きやすくなることがあります。だから、一緒に「もっと現実的な見方」を探していくんです。無理にポジティブにならなくていい。ただ、「会話が途切れても、相手はそんなに気にしてないかもしれないよね」って、そういう可能性に気づいていく。

こうした振り返りを繰り返しながら、これまでとは違う見方にも少しずつ目を向けていきます。

体の緊張、これが意外と大事

緊張が強くなると、肩に力が入り、呼吸が浅くなることがあります。不安を感じると、体にも緊張や動悸などの反応が現れることがあります。

そこで、初めての方には、呼吸をゆっくり整える方法として、3秒吸って、6秒かけて吐く練習を取り入れています。

人と会う前などに、ゆっくり呼吸を整えることも、緊張する場面で自分でできる対処の一つです。

イメージの力って、馬鹿にできない

これ、最初は皆さん「え?想像するだけ?」って思うんですけど。目を閉じて、カフェで友達と笑顔で話してる自分を、できるだけリアルに思い描いてもらうんです。コーヒーの香りとか、友達の笑い声とか、窓から入る光とか。

実際の場面を具体的にイメージすることは、その場面を考えたり感じたりするための一つの練習になります。カウンセリングでは、実際に行動する前の準備として、こうしたイメージ練習を取り入れることがあります。

イメージ練習では、最初は「カウンセラーと雑談」、次に「家族とお茶」、そして「友達一人とランチ」というように、無理のない範囲で少しずつ段階を踏んでいきます。焦らないことが大事なんです。

実際の場面へ少しずつ

カウンセリングを重ねるなかで、以前ならすぐに断っていた友人からの誘いにも、「緊張するけれど、行ってみよう」と考えられることを一つの目標にします。

そして実際の生活の中で、できそうなところから試していきます。

実際に出かけてみると、会話が途切れる時間があっても、相手は自分が思っていたほど気にしていなかった、と気づくことがあります。そして、「緊張はしたけれど、行ってみてよかった」と感じることもあります。

こうした経験を重ねるなかで、次には会社の食事会などにも、「緊張するだろうけれど、参加してみようかな」と考えられることがあります。

あなたに伝えたいこと

ここまでのAさんの事例は、複数の相談者の体験やカウンセリングの経過をもとに構成しています。

対人緊張を、単に「性格だから仕方ない」と考える必要はありません。カウンセリングでは、対人緊張への向き合い方や行動の仕方を見直していくことで、変化がみられることがあります。つらさが強い場合や日常生活への支障が大きい場合には、医療機関に相談することも選択肢の一つです。

変化は、いつも劇的に起こるわけではありません。小さな変化を重ねていくこともあります。その一歩を一人で踏み出すことに、不安を感じる方もいます。

もし今、友達の誘いを断ることが続いていたり、そのあとで自分を責めてしまったりしているなら、カウンセリングで話してみることも一つの方法です。

対人緊張について、最初から順序よく話す必要はありません。どんな場面で緊張や不安が強くなるのかをうかがいながら、その方に合った進め方を考えていきます。

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